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バルセロナ 医療通訳:下山 由紀子
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花粉治療情報
毎年、年明けとともに花粉症の症状を発症する方が、年を追うごとに多くなり、また症状もひどくなりつつあるように感じています。花粉症事態は重篤な病気ではありませんが、症状は非常にうっとうしい上、日常生活に支障をきたす方もあるため、頻繁に花粉症治療のご説明をすることがあります。今回はこの場をお借りして、この治療についてご説明いたします。
症状が軽い場合
症状があまりひどくなく、抗ヒスタミン剤(抗アレルギー剤)の服用で症状を緩和できて日常生活が営めるのであれば、そのままで構わないと思います。
抗ヒスタミン剤は大変多くでまわっていますが、どれもたいてい、季節性アレルギー(鼻水、くしゃみ、鼻のかゆみなど)とアレルギー性結膜炎(目のかゆみと涙)の症状を和らげます。腎臓疾患のあるかたや、6歳未満の子供の服用はご注意ください。
抗ヒスタミン剤は錠剤・シロップ剤・鼻腔スプレーとも多く出回っていますので、眠くならずに良く効くお薬をお探しになるか、アレルギー科の医師に処方していただいてください。
治療はどういうふうに進むのですか?
花粉症治療を始めるには、まず皮膚アレルギーテスト(プリックテスト)からスタートします。
アレルギー反応を引き起こしていると思われる素材の液(杉、ヒノキ、イネ科、犬猫、ダニ、ほこり、ほか)を腕にしみこませます。20分ほど待ってから赤く反応している素材を判定し、これらについて血液検査が実施されます。血液検査結果にもとづき、強い陽性反応を示す要素について、ワクチンを3年から5年、少しずつ投与するというものです。
ワクチン投与は注射か経口で実施されます。注射の場合は最初、1回分の投与量からさらに少ない量のワクチンを毎週、または隔週で1回接種し、問題がなければ翌月からは1回分の量のワクチンを毎月1度接種します。
このまま合計3年から5年の間治療を続けるとほぼ症状がなくなり、毎年発症していたアレルギーの季節になっても発症しなくなるか、非常に軽くなります。
症状は接種を始めた翌年からかなり楽になるのが普通です。
症状が悪くなったら治療を始めたいのですが。
花粉症治療のはじめに実施する皮膚テストは、抗ヒスタミン剤を服用している最中に実施すると正しい反応が得られないため、5日から7日間、抗ヒスタミン剤を服用しないでテストに向かわなければなりません。
つまり、この治療に適した開始時期は、抗ヒスタミン剤を必要とするアレルギー症状の最盛期ではなく、症状がある程度おさまっている時期に始めるのが適当です。
症状が重い場合
抗ヒスタミン剤の服用をもっても日常生活に支障が出てしまう重度のアレルギーには、治療をお勧めします。
この治療はアレルギー科にて、ご自身が最も過敏に反応しているアレルゲンのワクチンを接種してもらうことにより花粉症を治療してしまうもので、症状を緩和するステロイド剤の注射ではありません。
注射以外に治療法はないのですか?
あります。同じワクチンを口から服用する方法です。この場合はワクチンを数滴ずつ、医師の指示に従って毎日舌下に落として服用します。
舌下投薬の場合は注射のために通院しなくても良いというメリットがありますが、毎日必ず投薬しなければなりません。お子さんが遠足や修学旅行のときも、ご家族でご旅行の時も投薬を続けなければいけないという大変さがあります。
舌下投薬ワクチンの効き目は注射のケースよりわずかに弱いようですが、こちらも3年から5年の服用によってアレルギー症状がおさまります。どちらの治療も途中でスペインを離れることになった場合も、別の国で治療を続行できるはずですが、残念ながら日本でこの治療を実施している病院は稀のようです。
日本の杉・ひのきに毎年必ず発症しているかたは、こちらでも糸杉が花粉を飛ばす1月から3月に発症しますので、安定期にスタートすることをお薦めします。今までこの治療をされた日本人の方はかなりおられ、皆さん翌年から随分と症状が和らいでおられるほか、日本や別の国でも治療を続けていらっしゃいます。
ただし、途中で接種を中止してしまうと、症状が緩和された状態を持続するか、治療開始前のようにひどいアレルギー症状に戻ってしまうかのどちらかとのことですから、一度始めたら最後まで根気強く続けられることをお勧めします。
医療通訳 日本語⇔スペイン語 / Intérprete Español-Japonés: especialidad en medicina